INTERVIEW

他人の正解は私のドレスコードじゃない「"好き" でドレスを選ぶ時代へ」asaさん〈ANDRESDディレクター〉

結婚式だけでなく、背伸びしたい日常にも寄り添って後押ししてくれるーー着るだけで少し気分が上がるような、都会的で細部にまでこだわりが宿るデザインは、ひと目で ANDRESD のドレスだとわかります。

今回紹介したブランド

ANDRESD

ANDRESD

アンドレスド

立ち上げからわずか2年で5万着以上をお客様に届け、業界を牽引するドレスブランドに成長したANDRESD。そんなANDRESDの顔として立ち上げからブランドを支えるのが、ブランドディレクター の asaさんです。
個人のInstagramもわずか2年で3.7万人にフォローされ、ANDRESDのアイテムを使ったコーデ投稿やインスタライブなど精力的に活躍されています。
そんなasaさんですが、もともとは人前に出ることはあまり得意ではなく、意外にもキャリアのスタートは銀行員だったそうです。今回、asaさんにディレクターになった経緯や葛藤、ANDRESDのドレス製作を支えるasaさんの仕事観について伺いました。

前職で開いたオケージョンドレスの扉

━━転機は 2022 年。前職でオケージョンドレスの企画・製造から販売まで行うメーカー企業に EC 担当として合流したことが、オケージョンドレスとの出会いになりました。
コロナでECがものすごく流行っていた時代。ずっとECに興味があり、晴れて前職のオケージョンドレスを製作・販売する企業に就職することができました。
オケージョンドレスの企業に入社した後は、EC担当として働きました。会社としてはこれからECに力を入れるタイミングだったので、チームも3人と少人数だったんです。
だからこそ、自分にできることは何でも挑戦してきました。例えば、商品の検品や梱包・出荷、お客様の対応、ECサイトの更新、商品撮影に同行したり、あと広告運用もしてました。

銀行員からブランドディレクター、ドレスの最前線へ

 ━━前職で自分から積極的に様々な業務に挑戦した経験が今に活きていると話すasaさん。しかし意外にもキャリアのスタートは銀行員だったと振り返ります。
実はECの世界に飛び込む前は、銀行員を3年間していました。私、もともと口下手で人前に出るのが得意じゃないんです。
銀行を辞めた後は職業訓練校に通って、その後転職活動をしていた中でECをやっているキッズ用品を扱う企業に内定を貰えたんですが、手が足りてないから「営業職をやってほしい」と言われて。
営業なんて絶対できない!と、辞退したくらい人前に出て話すことに苦手意識があったんです。
前職のオケージョンドレス企業で働いてたとき、先に退職した上司から「新しくオケージョンドレスのブランドを始めようと思ってて、ディレクターとして一緒に立ち上げに参加して欲しい」と連絡がきて。
嬉しかったんですけど、正直、すごく迷いました。
やっぱりディレクターってブランドの顔になるお仕事ですし、もともと自分に自信がなくて、人前に出るのが苦手な自分に務まるのか不安だったんです。
 ━━自分のことを口下手と表現するasaさん。ANDRESDの立ち上げ時も、様々な葛藤があったそうです。
前職でオケージョンドレスに携わっていくうちに、結婚式の列席には色々なマナーがあることに違和感を感じるようになりました。
「肩出しは控えるべき?」
「白はダメ?」
「じゃあ結婚式って何を着たらいいの?」
こうやって “何を着たら正解なのか”を考えて服を選ぶのって、それって心の底からワクワクできないと思うんです。
だからもっと、シンプルに大好きなおふたりに会えることを楽しみにして、自分のお気に入りでワクワクする服を着て、楽しく参加できる場になったらいいのにと。
声をかけてもらったとき、すでにブランドのコンセプトやイメージはある程度固まっていました。それが後のANDRESDのコンセプトにも繋がっていて、
「常識を脱いで、新たな自分に出逢う」
" New Basic , New Me "
結婚式という空間でも、
自分らしく自由なお洒落を楽しんでもらいたい。
一生に一度の幸せな瞬間に、
身に纏うだけで自信を持って輝ける
特別なファッションを楽しんでほしい。
このブランドだったら、まさに自分が違和感を感じていた結婚式の”常識”を脱いで、新しいオケージョンドレスのカタチを展開できるかもしれない。
そして、私自身、自分に自信がないことがコンプレックスだったけど、同じような思いをしている人に自分だから届けられるモノがあるんじゃないか、そして自分自身もそのコンプレックスを克服できるんじゃないかと思い、前職を退職して、ANDRESD立ち上げに参加することを決心しました。

ドレスの新常識は いま、New Standardに

 ━━2023 年、ANDRESD を始動。ブランド名は “DRESS” に否定の AN をつけることで、「これまでの常識を脱ぐ」という意志を込めた。ローンチから2年が経った今、ANDRESDのドレスは、いまや他のドレスメーカーにも参考にされるほど、業界の “New Standard” を築きつつあります。
ANDRESDでは、これまでのオケージョンドレスにはなかった、モードな雰囲気をまとったアイテムを展開しています。
また結婚式だけじゃなくて、日常の幅広いシーンでも使いまわせるようなデザインも特徴。2way・3wayにしたり、パンツドレスもいち早く取り入れて展開しました。
個人のインスタでも、結婚式だけじゃなくて日常にも馴染みつつ、ANDRESDらしいコーデを発信しています。
例えば甘いアイテムでも、メタリックなパンプスを合わせたり、ヘアをタイトで合わせたり。ただ甘いだけではなく、どこかモードな雰囲気のコーデを提案するようにしています。

お客様の本音をひろいあげて、そしてカタチにする

 ━━2023 年、ANDRESD を始動。ブランド名は “DRESS” に否定の AN をつけることで、「これまでの常識を脱ぐ」という意志を込めた。ローンチから2年が経った今、ANDRESDのドレスは、いまや他のドレスメーカーにも参考にされるほど、業界の “New Standard” を築きつつあります。
━━そんな多忙なasaさんですが、ブランド立ち上げから、 asaさん個人のInstagramにくるDMやコメントにはすべて本人が返信されていたそうです。
1日に届くDMの件数が多いわけじゃないんですが、「DMは絶対に相手で終わらせない」をポリシーにしてました。何回も言葉のラリーを続けることで、ただの相談で終わらせずに、会話にするように心がけていました。
そうすると、「実はこういった悩みがある」とか、お客様の本当に欲しいもの、悩んでいること、本音が分かるようになるんです。
実際にInstagramでいただいたお客様の声は、商品やサイズ展開、カラーバリエーションに反映させていただいてます! これはANDRESDならではかもしれません。
 ━━例えば、1年半の改良を経て販売し、すでにベストセラーの1着となっている「ダブルジャカードドレス」もそのひとつ。身幅は変えず、着丈だけプラスしたロングタイプはasaさんのInstagramに寄せられたリクエストから製作されました。
ゼロからスタートしたInstagramでしたが、ありがたいことに多くの方に見ていただけるようになって。気づいたら、1日の業務のほとんどがDM返信になっていて、7時間 DMし続けてたこともありました(笑)
今はすべてのDMに返信することは難しくなってしまったのですが、代わりに定期的にインスタライブを開いて会話できる場所を作るようにしてます。

唯一無二を生む チームコミュニケーション

 ━━ドレスは、市場分析→ 企画 → デザイナーが作ってくれたデザイン案をレビュー→ サンプルが出来上がってくるので試着・チェック → 修正(必要あれば修正を繰り返す) という販売まで多くのフローを経て製作されるそうです。
ANDRESDのドレスは、特徴的で個性もあるので、デザインにはものすごく熱量が入ります。
ドレスが出来上がるまでの期間は商品それぞれですが、基本的には4ヶ月くらい。他のブランドと比べても新作を楽しみにしてくださるお客様がとても多いので、ドレス作りでは妥協せず、でも全体のスピードも落とさないように心がけています。
━━ANDRESD が毎シーズン新しいデザインを打ち出せる秘訣は、週 1 回のチーム全員参加の企画会議。デザイナー陣が守る “ANDRESD らしさ” と、asaさんを含むEC チームが掬い上げるお客様の声――その両輪が欠かせません。
週に1回、ANDRESDのメンバー全員で、新作ドレスの企画会議を行います。会議には私を含めたECチーム、デザインチーム、そして営業と経営チームも加わって、全員で今後のドレス製作について話し合うんです。
━━会議は長いと7,8時間にも及ぶそうです。
私がディレクターとして大切にしていることは、チームが作りたいものと、お客様が欲しいもの。そのどちらにも偏らずバランスをとること。
“良いドレス”を作り続けるには、どちらかだけでは絶対にダメなんです。
とはいえ、このバランスが本当に難しくて、つい会議でも感情が入りすぎることもあります。
そのせいか、デザイナーから「最初はクールだと思ってたけど、意外とアツい人なんやな」とか「体育会系っぽい」って言われたりします。
最近では「アツすぎる」とまで言われるので、その時はちょっと抑えるようにしてます(笑)
ただ、どうしても納得いかない場合は修正を重ね続けることもあります。
例えば、「バブルジャカードドレス」は販売まで1年半かかりました。
経営陣からも「もういいんじゃないの?」と言われることもあったんですが(笑)
生地がものすごくかわいかったので、絶対に妥協したくなくて。
結果として、今1番人気と言っても過言ではないくらい、売上もよく、お客様からも嬉しいレビューをいただける商品になりました!
━━その後、お客様からのリクエストが多かった、身幅は変えず、着丈だけプラスしたロングタイプも製作されたそうです。

「花嫁の次に可愛かった!」届いた声が背中を押す

実際にANDRESDのドレスを着て、結婚式に参列したお客様から感想のDMを貰うことがあって、それが本当に嬉しくて。読むたびに胸が熱くなります。
私自身、ずっと「自分に自信がない」というコンプレックスを抱えてきました。
だからこそ “New Basic, New Me”――常識を脱ぎ捨て、新しい自分に出逢うという ANDRESD のコンセプトにあるように、“同じように自信を持てずにいる誰かに、私だから届けられるドレスがあるはず。
今でも口下手ですし「まだまだだな」と感じる場面は多いですが、ANDRESDのアイテムで、より自分に自信を持ってお客様が楽しんで結婚式に参列してくれたって思うと、「この仕事やっててほんまによかったーーーー」って思うんです。
実際にお客様から届いたメッセージの一部
実際にお客様から届いたメッセージの一部
  • 「これまで結婚式に何度も参列してきましたが、今回が一番テンションが上がりました」

  • 「結婚式当日、アンドレスドを着た私が花嫁さんの次に可愛かったです!」

DMはいつでも見返せるようにアーカイブに
DMはいつでも見返せるようにアーカイブに
その日のメイクやヘアが上手くいくと気分が上がるようにお洋服でいつもより自分に自信を持てて、その1日がワクワクするような効果ってあると思うから。
私の原動力は、お客様から実際にいただく声と、ANDRESDのドレスを通じて誰かの背中をそっと押せるかもしれないという希望。その両方なんだと思います。

“New Me”を纏う、その先に

これからも、
自信を持って “本当にかわいい” と胸を張れるデザイン、そして ANDRESD らしさ。
そこにお客様から届く声を丁寧に重ね合わせ、これからも唯一無二のブランドを一緒に育てていけたら嬉しいです。
そして、
オケージョンドレスの選択肢をもっと自由に、もっと広げたい。
誰もがときめく一着をまとって、ワクワクした自分でいられるように。
ANDRESDを通じて、結婚式という体験も、オケージョンドレスという概念も、これからリノベーションしていきたいです。
私自身も、これから年齢を重ねる中で変化する強みを活かして、ドレスという形でお届けできるのを楽しみにしています。

PROFILE

asa(あさ)

ANDRESD ブランドディレクター

asa(あさ)

1996年3月5日生まれ、兵庫県出身。オケージョンドレスブランド「ANDRESD」ブランドディレクター。


取材・編集:永延 真優(プラドレ) / 写真:SOTA(Underdog Graphics)

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